鹿島神宮の神職を世襲する家柄に生まれ、
明治から昭和にかけて歌人として活躍された
東胤徳の肉筆による書の折帖
『楷行草假名朗詠抄』です。
表題の通り、和漢朗詠集から抜粋して、
楷書、行書、草書、かなとで作品を書き繋いでいます。
書道のお手本によくある、2面でしか開いて置けない体裁ではなく、
仏教の経典のように、全体を広げることができる折帖ですので、
2面以上全体まで、広げて飾ることも可能です。
巻末にはご署名と落款が入り、
また年次が「昭和壬申初夏」とあります。
昭和の壬申年は昭和7年(1932年)のみですので、
戦前のこの年に書されたものと思われます。
この年は東胤徳が御歌所参候に任命された年のようですので、
特別な時期にこのように書されたものと思われます。
少しの虫食いなどありますが、
大戦を挟んで90年以上の経年があるとは思えないほどの
美品の範疇と言えるものと思います。
文字面などは昨日今日書いたかと見まがうように鮮明で、
墨で書された文字が、年月が経ってもいかに鮮明に残るのかの
見本のようなお品と思います。
東胤徳ゆかりの方に、また書のお手本としても、
ぜひどうぞ。
注意事項
ケースなどなく、折帖1点の本体のみの出品です。
表紙にヤケや小傷があります(画像)。
本文用紙にヤケがあり、また1点、途中から
裏表紙までに貫通する小さな虫食いの穴があります(画像)。
その他は全体に非常に状態が良く、100年近い経年を考慮すると、
むしろ美品の範疇と言えるものと思います。
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